最近、ミドルマネジメントの強化に関するご相談が多くなってきている。
企業規模、従業員数にもよるが、係長や班長など現場のリーダークラスに関するご相談で、年齢的には30代半ば~40代半ば位の年齢層が対象である。
彼らの世代を社会的背景から考察すると、バブル崩壊、リストラ、成果主義が加速された、いわゆる就職氷河期やリーマンショックで人的資源への投資が抑制された時代に社会人になった世代とも言える。
ご依頼頂く企業様で研修を行った際の様子や、自分の企業勤務時代の経験から言える事は、この世代が「基礎的な教育をしっかり受けていない」ということである。
では、この世代や階層に不足している基本的スキルとは何か?
具体的に言うと、PDCAや論理的思考、問題解決力、目的志向や深掘り(なぜなぜ分析)などの「思考力」が、まず第一に挙げられる。
(我々世代は、QC活動があり、OJTの機会も比較的多くあり、知らずに訓練されていた)
彼らの傾向として、瞬発的な頭の回転力は非常に優れている。
だが同時に非常に対処療法的で、その場限りの内容で表面的、下手をすると過去のやり方をコピー&ペイストして対応する始末。
「なぜ、その方法をするのか?」「なぜ、それを選んだのか?」と訊くと、しっかり答えることができない、または上手く話しを逸らしてくる。
明らかに、深く考える、しっかり考えるスキルが不足している。
彼らがそういう行動を取ることは、ある意味仕方ないようにも思う。
成果だアウトプットだと結果ばかりを求められ、すぐにやれ、早くやれとスピード感を求められる業務環境にいると、そうなってしまうのだろう。
また上述のような経済環境からも、しっかり深く考えるような教育や訓練も受けていない。
そして彼らがマネージャーになって、部下に求めるのは当然「結果のみ」になってしまう。
教えて貰った経験も少ないため、教え方も分からない、対人力も不足がち。
プレイングマネージャー化しているため、教える時間もない。
部下には指導や指摘が中心で、ハラスメントやメンタルヘルスのリスクが上昇してしまう。
そして、組織はどんどん弱体化していく・・・。
この悪循環を止めるのが、現場のリーダークラスに対する再教育である。
弊社の提供するプログラムでは、安直な考えや対処療法ではなく、本質的で自分自身の信念に基づいて行動できるように、まずはリーダーシップなどのマインド面の強化・醸成から、スタートする。
当社では、これを「主体力」と定義している。
ここでは、主に自分自身の思いや考え、価値観などを振り返りながら、更には、自分を巡る環境の変化や会社や上司の期待など自分を客観視して、出来ている事、出来てない事を明確した上で、最終的に自らの「ありたい姿」を作成していく。
そして、この「ありたい姿」を実現するための「アクションプラン」(1年後の到達目標と毎月の行動計画)を作成する。
当然、ありたい姿⇒1年後の到達目標⇒毎月の行動計画には論理性や繋がり、本気度、覚悟が求められることになる。
更に「ありたい姿」を軸にして、自分に不足している「思考力」やコミュニケーション力、部下への仕事の教え方などの「対人力」を強化していく流れになる。
「思考力」と「対人力」の2つの基本的なスキルを鍛えるうえで、有効なのが「部下育成の取組み」である。
研修で学んだスキルや手法を実際の場面でやってみて、その結果や失敗を振り返りながら、更に改善、PDCAを回していくのである。
これらによって、ビジネスに必要な土台である3つの基本的なスキル「主体力」「思考力」「対人力」が強化される。
当然、講師によるマンツーマンでの指導やフィードバックを行い、時には個別面談やカウンセリングなども入れていく。
もちろん、事務局によるフォローや彼らの上長にも関与して頂く。
このプロセスを踏むため、研修期間として成果報告会を含めて6ヶ月程度を頂いている。
日本企業の本当の強みは、現場力にあると私は信じている。
その現場力の今後の鍵を握るのは、現場のリーダーである「初級~ミドルのマネージャー」であることは間違いないと考える。
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